聞いて楽しむお話の世界
国際子ども図書館の児童文学講座の中で、
小学校低学年頃までの子どもは文字が読めていたとしても
文字からの認識よりも声から聞く方が
文脈を捉え、理解し、想像を膨らませることができる。
つまり自分で読むより、読んでもらった方が自由に物語を楽しむことができる。
ということを学んでから、“声の言葉・耳で聞く読書”について随分と重きを置くようになりました。
長女はもうすっかり1人読みも楽しむけれど、まだまだ物語の世界を声で楽しむ年頃でもあるし、そしてまた、読んでもらうこともまだまだ大好き。
そこで福音館から出た
『ねえねえ、きょうのおはなしは…』
を購入してみました。
「長くつ下のピッピ」や「スーホの白い馬」の翻訳をなさった大塚勇三さんが訳・再話を手がけた世界の昔話20話が収められています。
児童文学講座では「耳で聞く読書」について大きな気づきをもらったわけですが、もうひとつ、それは“絵本の読み聞かせに限らない”ということをこの本から驚きと確信をもらいました。
長女の習い事のお迎えの待ち時間に、動き回りたい盛りの次女を膝にのせ、お話をセレクトして読んで聞かせたら、まぁ驚くほど集中して聞き込んでくれる。
もう一回!と言われることもあれば、次はこれ!とリクエストされることもあり、「絵のない声の言葉による読み聞かせ」がこんなにも子どもの心を魅了するものなのかと感動したのです。
収められているお話のボリュームも絶妙で、子どもの集中力が程よく持続し、次の展開の期待値を上げながら保ってくれる。
1話読んで少しホッとしてまた次への切り替えをして、お話の世界に入り込み集中を高める…
この繰り返しは確実に子どもたちの心の筋力を鍛えてくれるものと感じます。
そして昔話といえば、キラキラとしているだけでは無い、地味で素朴だったりダークなものも存在する。
そういう要素も削がずにきちんと残してくれています。
ドキドキしながらも怖いもの見たさで
思わず聞き入ってしまう次女の様子が可愛かった(笑)
「楽しめるかな?」という大人の先入観は捨てて聞かせてみることをおすすめします。
子どもの意外な姿や反応を見れるかもしれません。
ポケットサイズなので持ち運びもしやすいし、すっかり移動のお供、待ち時間のお供になりました。
動き回る子を静かにさせたい時、スマホやタブレットを出す前に、ほんの1話だけでも生の声でお話を届けてみてはいかがでしょう。
この本1冊で随分と豊かな時間を楽しめると私は思っています。