折り合いをつけて切り替える心の力の育ち〜2歳児クラスのレッスンから〜

月曜、土曜クラスともに2024年度のレッスンも残すところあと1回。
ここのところ全ての子どもたちの成長がとても著しく、毎回のレッスンで驚かされてばかりです。

そんな中、特に印象強かったレッスンでの一コマ。

ご機嫌ななめな状態でスタートしたレッスンで、最初はモチベーションが上がらずグズグズだった子がいました。

数ヶ月前の彼なら、荒む心が落ち着くまでに数十分〜1時間要していたと思いますが、この日は序盤を過ぎると少しずつ意欲を取り戻していきました。

私は「一緒にやろうよ」とは一言も言っていません。
干渉しすぎず、さり気なく活動への種まきをしつつ、
一定の距離を保ちながら見守っていました。

彼が自分で自分の心に折り合いをつけて
気持ちを切り替えて
自分の意思でレッスンに参加したのです。

人は誰しも、大人も子どもも、いつもコンディションの良い状態を保つことはできません。
だからこそ、良い状態を保つことよりも、揺れ動く感情を自分で受け止めて、自分で整えたり回復するレジリエンスの力が大切だと感じます。
大人でも難しいマインドコントロールを、2歳児クラスの子がやってみせた姿は、大変心を打つものでした。

そして、この日はもうひとつ心動かされる場面がありました。

巧緻性タイムでいつも最初に飛びつく積み木ではなく、別の玩具を選んで遊んだあと、
「積み木もやりたい…」とボソッと言ったのです。

もちろん、遊んでいいんだよ。
でもその前にお片付けをしようね。

そう伝えると、黙々と1人で片付けました。
「やりたい!」という欲求が勝っていた頃を知っているだけに、自分を律して責任をもって使ったものを片付ける姿から大きな成長が見られ感動しました。

2歳児クラスの最終的な目指す姿は、
ルールの存在を認識し遵守する大切さを認知していくこと。

3歳頃から“人間らしさ”、すなわち理性を司る前頭前野が発達していきます。
年度末の集大成となる3月は、2歳児クラスの殆どの子が3歳の誕生日を迎えており、その人間らしい理性の部分が育ち始めています。

たった40分のレッスンの中で、彼の心の力の育ちがとても色濃く現れていて、健やかに逞しく成長していることがわかりました。

本来子どもたちが潜在的に持っている「自ら育つ力」に対して、私は音楽で後押ししたり支えたり、アプローチしたいと考えて取り組んでいます。
その取り組みの中で、このような愛おしい瞬間のお裾分けをいただけることに深く感謝しています。