子どもの世界を侵害しない

少々強いニュアンスかとは思いますが、子ども側に立って考えるとやはり[侵害]に値することだと思い、このタイトルとなりました。

親と子のポジティブなかかわりは、必ずしも親が子に対して常にアクションを起こしたり、干渉し続けることではありません。
例えば集中して絵本を眺めたり遊びに没頭している時、不必要な声がけをして子どもの集中を中断させてしまうかもしれません。

『何もしないでいることが子どもの要求を叶えている状態』

という場合もあるのです。

子どもは“負の感情”を経験した時に「その状況を変えたい!」「脱したい!」という思いから、外に向けて “泣く” “怒る” などの表現行為として訴えてきます。
服の脱ぎ着、靴の脱ぎ履きの際に、拙い手つきでやるものの、結果上手く出来ずに「ママやって!」と言われて親がやることになるケースも多いと思います。

最終的に親がやることになるなら、最初からやってあげる方が時間が短縮できる。
子どもが出来なくてイライラすることも防げる。
時間に追われているときは特にそう思ってしまう親側の心理もよくわかります。

しかし、子どもの最終的な欲求を先回りをして何でも親がやってあげることは、その場限りの状況で見るとお互いにとってスムーズでストレスが少なく良いものかもしれませんが、あまりにも過度な介入と先回りがたくさん積み重なっていくと、子どもが “負の感情” を十分に経験できないまま成長していくことにもなります。

負の感情を経験することは、ちいさな失敗体験を経験すること。
ちいさな失敗体験が逆境にへこたれない強い心や、転んでも立ち上がる回復力を育むということ。

“良かれと思って” 行ったことが子どもが自分の主体性を遮ってしまったり、子どもが思いを伝える機会や、大切なちいさな失敗体験の芽を摘みとる行為につながる可能性があるということを、ほんの少し、意識していただけたら。

子どもの主体性を尊重し、自律を促すための親と子のかかわり方。

子どもが何かを求めてきた時にはそれに応じ、求めてこない時は子どもに任せておく。

そんな見守りの姿勢を持つことが、子どもの自立や主体性の発達につながります。

子どもの世界に踏み込まないでいること。
子どもの世界を侵害しないことの大切さ。

頭の片隅に留めておきたいことのひとつです。